Vol.38 2012年12月22日(土)
某社経営会議において、彼は、ポイントを捉えた発言、フィードバックができません。
気の利いた一言を発することができません。
何を話せばいいのか、途方にくれています。
その場でやりとりされている事柄や情報が論点であるのかどうなのか。判断できません。
彼は、某社の●●という独自技術、ビジネスプロセス、KFS(Key Factor for Success)、顧客、競合、収益構造
などを十分に理解できていません。
彼が、気の利いた一言を述べたり、論点を掴むことができないのは、当然です。
彼とは、私です。
コンサルタント失格です。
論点を見極める(外さない)。
ミーティング、会議、打合せの効果・効率を高めたり、的を射た戦略を立案・実行したりする上で、極めて重要です。
論点
議論の要点。議論すべき中心点。「―が定まらない」
株式会社岩波書店 広辞苑第五版
論点
the point at issue [in dispute]
[新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典 株式会社研究社
A) a matter that is in dispute between two or more parties
2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
B) a vital or unsettled matter
根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
AとB両方の条件を満たすものがイシューとなる。
安宅和人(2010)『イシューからはじめよ』英治出版株式会社pp.25

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論点を外したミーティング、会議、打合せの効果は0以下です。
0以下とは、効果がマイナス、つまり何の益にもならない、むしろ害を及ぼす、開催しない方がよい、ミーティング
や会議、打合せの発生に論点のズレが関与することを意味しています。
的を射ていない戦略で熾烈な競争環境下を生き残れるはずもありません。
論点を見極める(外さない)。
リーダー、マネジャーの重要な責務の一つです。
とはいえ、論点を見極める(論点を外さない)ことは容易ではありません。
論点思考がむずかしいのは、論点候補が無数に存在し、その中からこれはと思う論点を見つけて深掘りしなくて
はならないこともあるが、それに加えて、論点が動くからである。
なぜ動くかといえば、それは、
①論点は人によって異なる
②環境とともに変化する
③論点は進化する
からである。
内田和成(2010)『論点思考』東洋経済新報社pp.67-68

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「なんちゃってイシュー」を、 Big Issue と勘違いする時があります。注意する必要があります。
世に言うフリーライダーなど、無意識に、あるいは確信犯的に、”なんちゃってイシュー”を、あたかも Big Issue
のようにすり替える方がいます(どうでもいい問題を解く)。
実は、世の中で問題だと言われているもの、調べてみようと思うことの大多数は、今、本当のところは答えを出
す必要がないものだ。そうした「なんちゃってイシュー」に惑わされないことが大切だ。
安宅和人(2010)『イシューからはじめよ』英治出版pp.59
”なんちゃってイシュー化”を先生は矮小化と呼んでいたのだと思います。
http://www.kkkiduki.jp/article/14646087.html
互いの論点の違いについて率直にコミュニケーションすることが難しい(互いに自身の論点に固執する)状況に
陥ることもあります。
エネルギーや時間は限られています。
熾烈な競争環境下において勝ち残るためには、戦略は的を射なければなりません。
リーダー、マネジャーは、ミーティング、会議の議題や、自身の問題意識の対象が、そもそもBig Issue であるか
どうかについて、そして Big Issue に力を注ぐことに、十分過ぎるくらい、注意を払う必要があります。
今さらですが、気づきました。
その人物の論点は、その人物そのものであると。
その人物の論点から、その人物の、
●立ち位置や視点
●能力(知識、スキル、態度)、経験の高低・広狭・深浅
●志の有無やその大小
●興味や関心の対象
●思惑、意図
などが推測できます。