コラムP 娘をやるわけにはいかない 直感と理性の二つのツール

Vol.32  2012年4月30日(月)

 「この先どうなるか分から者に娘をやるわけにはいかない」

 13年前、妻の実家で、お父さん(妻の実父)から言われました。


 当時私は、勤めていたコカ・コーラウェストジャパン(※)を数カ月後に退
職することを、また退職後は、生産性本部が開催している経営コンサルタ
ント養成講座(※)を受講すること
を決めていました。

※コカ・コーラウェストジャパン
  http://www.ccwest.co.jp/
※経営コンサルタント養成講座
  http://consul.jpc-net.jp/mc/kouza/index.html

 経営コンサルタント養成講座を受講した後、つまり一年後に、

 何をするか?

 何ができるか?
 何をしたいのか?

 何をやるべきか?

 はたして稼げるのか?


 悲観してはいませんでした。
 「どうにかなる!」と楽観していたように思います。

 とはいえ、確証があるわけでもありません。


 「この先どうなるか分から者に娘をやるわけにはいかない」

 お父さんの言い分はもっともです。

  ・

  ・ 
  ・
  ・
  ・ 

 黙っていたお母さん(妻の実母)が、口を開きました。

 「お父さん、(耕二さんの人生は)楽しそうじゃないの」
 「お父さん、お父さんの人生、楽しかった?お父さんとの人生は楽しかっ
たかな?」

 「苦労ばっかりだった・・・」
 「楽しくなかった・・・」

 「(耕二さんの人生は)楽しそうじゃない!」

  ・

  ・
  ・
  ・
  ・

 お父さんの判断基準は、安定か、不安定か。
 お母さんの判断基準は、しいか、楽しくないか。

 お父さんは、理性的、中長期的です。
 お母さんは、直感的、短期的です。

 シーナ・アイエンガー教授が述べる「直感」と「理性」の二つのツール

 子供(私の妻)の結婚について、お父さん、お母さんは、お父さんは「
」というツールを、お母さんは「直感」というツールを、二人で異なるツー
ルをバランスよく活かして、意思決定したのかもしれません。

 お父さんとお母さんのやりとりから、「直感」の大切さを勉強させてもら
いました。


 あらためてこの10年を振り返りますと、私は「理性」で考え抜き最後は
「直感」で、あるいは「直感」を起点に「理性」で徹底に検証して結局最後
は「直感」で重大事について決めてきたように思います。


 お母さんのおかげで、私は妻と一緒になることをお父さんから許されま
した。

 お母さんには一生頭が上がりません。

 あの時の情景を思い起こすと、お父さんには申し訳なく思うこともありま
す。


 5日前、お父さんは他界しました。

 病に伏しているお母さんを病院へ見舞いに行く途中、交通事故を起こし
たのです。

 妻は、お父さんの遺品を整理しながら、お父さんのズボンのすそがテー
プで留めてある状態を見て涙していました。

 合掌

記事 今年の新入社員『奇跡の一本松型』

2012/3/28

 私の専属契約先である日本生産性本部の「職業のあり方研究会」(座
長 ライズコーポレーション株式会社 代表取締役 岩間 夏樹氏)は、平成
24 年度の新入社員の特徴をまめ、新入社員のタイプを「奇跡の一本松
」とネーミングしました。
http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity001336/attached.pdf

【平成24年度 新入社員の特徴(ポイント)】

困難な就職活動の中での「頑張り
●若者たちの就業観が垣間見えた〜ボランティア活動を通じて
●若者たちはこれからの時代の「変化」の原動力

【今年度のネーミング】
 東日本大震災にも耐えて生き残った「奇跡の一本松」の話は、復興に
向けて多くの人に勇気を与えてくれた。今年の新入社員についても、
例のない厳しい就職戦線を潜って残った頑張りを称えたい。これからの
人生においても自然災害をはじめ「想定外」の事態に直面することもあ
ろうが、その困難を乗り越えていくことが大いに期待される。今のところ
は未知数だが、先輩の胸を借りる(接木)などしながらその個性や能力
(種子や穂) を育てて行けば、やがてはどんな部署でもやっていける(移
植)だろうし、他の仲間とつながって大きく育っていく(松原)だろう。

 ちなみに、私の入社年度は昭和61年です。
 この年の新入社員のタイプ、特徴は以下ようにネーミング等されてい
ます。

 タイプ  日替わり定食型
 特徴  期待したわりには変わり映えせず、同じ材料の繰り返し。

  あなたが入社されたのはいつですか?
 その年の新入社員のタイプは何とネーミングされましたでしょうか?
 またどのような特徴があるとされたでしょうか?
 それらを、昨今の新入社員と比較すると何が見てきますか?
 何を感じますか?

コラムP ヒューゴの不思議な発明 子供は私を弱い人間にした・・・

Vol.31  2012年3月6日(火)

 映画「ヒューゴの不思議な発明」の主人公ヒューゴ・カブレ(エイサ・バターフィー
ド)と私の子供の年齢はほぼ同じです。

 映画を見ながら、ヒューゴが私の子供と重なりました。

 ヒューゴが危機に遭遇するたびに、心配で心配でしかたありません。
 心臓の鼓動が聞こえてくるようです。

 ヒューゴの姿からけなげさを(敏感に)感じます。
 泣くような場面ではないのに何度も泣きました。

 十数年前子供が生まれて、私は(生まれて初めて)「”ずっと”まじめに働こう」と
意を固めました。はじめて人生の戦略を考えました。いろいろな点、意味で、覚悟
が固まり、少しは強くなったように思います。

 映画「ヒューゴの不思議な発明」を見ながらあらためて思いました。

 子供は私を強くしてくれました。

 同時に、私を過度な心配症に、悲観的な人間に、したようです。

 日本について、その将来の不透明感や不安を感じつつ、子供の健康や行く末な
どを考えると、子供のことが心配で心配でならなくなる時があります。

 子供は私を弱い人間にしたのかもしれません

 そういえば、母は弱かった・・・。
 母はいつも私のことを心配していました。

 母が弱かったのは、私がいたからではないか・・・
 そんなことをふと思います。

 東大を退職した社会学者上野千鶴子さんが特別(最終)講義。「超高齢化社会が
来てよかったと思っている。かつて強者であった人も、最後には誰かに支えてもら
わないと自分の生を全うできない。強者も、自分が弱者になる可能性を想像しなけ
ればならない社会だから」
  【天声人語(2011/7/31)朝日新聞より】

 小学生の子供も、年老いた父も、昨年春急逝した母も、今が絶好のタイミングと、
人の弱さ脆さ(フラジャイル)を私に教えてくれているのでしょう。

 弱さ、脆さの学習は、私にとって、48歳という”今”の発達課題であり、この発達
課題を乗り越えると、次の新たなステージに上がれる、進めるような気もしていま
す。

 
経営、マネジメントの任を担う方は、総じて、比較的に、強者です。

 経営、マネジメントの任を担う、強者の方は、
ともにこの世の中を構成している
者の視点・立場・気持ち
を、人生のある時点で学習することが、自身のリーダーシッ
プ力
マネジメント力の幅を広め、奥行きを深める上で、有益ではないかと私は思
います。

 

脆い
@こわれやすい。くだけやすい。「―・い刃」「―・くも初戦で敗れた」
A感じやすく、すぐ心を動かされるたちである。「情に―・い人」
[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]

 

スタッフ
 監督・製作:マーティン・スコセッシ
 原作「ユゴーの不思議な発明」:ブライアン・セルズニック

キャスト
 ヒューゴ・カブレ:エイサ・バターフィールド
 イザベル:クロエ・グレース・モレッツ
 パパ・ジョルジュ/ジョルジュ・メリエス:ベン・キングズレー
 鉄道公安官:サシャ・バロン・コーエン
 ママ・ジャンヌ:ヘレン・マックロリー
 ヒューゴの父:ジュード・ロウ

コラムB ヒューゴの不思議な発明 没頭(フロー経験)

Vol.30  2012年3月4日(日)

 母を亡くし、そして父も亡くし、酔いどれのおじと駅の時計台で暮らすヒューゴにとっ

の生きる糧は、父が生前心ときめかせた、精巧な、壊れた機械人形です。

 いえ、ヒューゴの生きる糧は、壊れた機械人形(というモノ)ではなく、その壊れた機
人形を”修理する”という行為です。

 修理という行為にヒューゴは没頭しました。修理という行為に没頭することによって、
ヒューゴは一時の間、日々の無力感ややりきれなさ、寂しさをから遠ざかることができ
たのではないでしょうか。没頭がヒューゴのモチベーションの崩壊
食い止めたのでは
ないでしょうか。

 ヒューゴの没頭ぶりを見ながら、フロー経験について考えていました。

 フロー経験 flow experience :楽しさの一側面であり、ある行為に全人的に没入して
る時に感じる包括的感覚のこと。熱中している時に感じる状態の感覚チクセントミハ

(Csikszentmihalyi)の内発的動機づけ研究において提唱された用語であり、その特性
して、行為と意識の融合注意の集中自我の喪失環境を支配している感情自己目
などが上げられる。スポーツ、ゲームなどの内発的動機づけに基づいた行動の中で
経験
されることが多い。
 中島義明他(編)(1999)『心理学辞典』有斐閣pp.764

 フロー経験(flow experience)には、次の特徴がある。(1)行為と意識の融合、(2)
された刺激領域への注意の集中、(3)自我の喪失や忘却、および世界との融合感
(4)自分
の行為や環境を自ら支配できているという感覚、(5)首尾一貫した矛盾のない行
為が必要
とされ、そこに明確なフィードバックがあること、(6)自己目的的、つまり他の目的
や外
発的報酬のためにそれをしているのではないこと。
 経営行動科学学会(編)(2011)『経営行動科学ハンドブック』中央経済社pp.240

 昨今、没頭することを妨げる要因が増えたように思います。
 ・仕事の種類、量の増大。
 ・検索、メール、携帯電話(スマホ)、フェイスブック、ツイッター等による仕事の中断、
  アクセビリティの向上。
 ・情報過多。

 そもそも、多くのリーダー、マネジャーは、その理想とは大きくかけ離れ、多忙を極め
没頭できる(フロー状態に入れる)状況にないと言われています。

 マネジャーの活動には、短時間多様性断片的、という特徴がある。その大部分は
に短時間で、職長は秒単位、経営者でも分単位。行われるべき活動の多様性は大き
く、連
続して起こる活動の間にはパターンはない。結果として起こることに些細な利害関
係でも
あれば、マネジャーはすばやく頻繁に気分転換しなければならない。一般的に、
マネジャ
ーの仕事は断片的で、中断されるのはあたりまえのことである。
 ヘンリー・ミンツバーグ(著)/奥村哲史、須貝栄(訳)(1993)『マネジャーの仕事』白桃
 
書房pp.85

 自身の、組織構成員のモチベーションを高め、高いパフォーマンスを創出する等の点か
ら、経営者、リーダー、マネジャーにとって、「没頭できる環境を作る(ゾーンに入る)」とい
う能力の重
要性がより高まっています。
 ・自分自身が没頭する。没頭できる環境を作る。
 ・部下、仲間が没頭できる環境を作る。

 「瞑想力」「断る(勝間和代)」なども、具体的に、状況に応じて、効果的に発揮する
には相当の修練が必要なのでしょうが、「没頭する。没頭できる環境を作る」ための能力
の一つです。

 

スタッフ
 監督・製作:マーティン・スコセッシ
 原作「ユゴーの不思議な発明」:ブライアン・セルズニック

キャスト
 ヒューゴ・カブレ:エイサ・バターフィールド
 イザベル:クロエ・グレース・モレッツ
 パパ・ジョルジュ/ジョルジュ・メリエス:ベン・キングズレー
 鉄道公安官:サシャ・バロン・コーエン
 ママ・ジャンヌ:ヘレン・マックロリー
 ヒューゴの父:ジュード・ロウ

コラムB 映画『ヒューゴの不思議な発明』 目的は何かしら・・・

Vol.29  2012年3月3日(土)

 「私の(生まれてきた)目的は何かしら」と悲しげにつぶやくイザベル。

 イザベルは(おそらく第一次世界大戦で)両親を失っています。

 ヒューゴが語りかけます。
 「(母を失い、そして)父さんを失った後、この時計台から街(1930年代の
フランス)を見ていると、世界が一つの機械のように思えた。機械には目的が
る。機械には不要な部品は一つもない(部品一つひとつに目的がある)。僕
何かの目的を持って生まれて
きたはずだ。君にも必ず生まれてきた目的が
あるはず」。
 ※以上、あくまで私が映画を見た時の記憶に基づく台詞です・・・。

 ヒューゴの父が心ときめかせた、壊れた機械人形は、ヒューゴにとっては父
の形見のような存在です。なんとしても、壊れている機械人形をヒューゴは直
したい。命を吹き込みたい。

 ヒューゴは修理に成功します。

 その機械人形が描いた絵は・・・。

 ヒューゴが修理した機械人形は、描いた絵を通じて、第一次世界大戦で、キャ
リアと希望、そして尊厳を失った初老の伝説の映画監督(パパ・ジョルジュ/ジョ
ルジュ・メリエス)とその妻(ママ・ジャンヌ)、2人に引き取られ育てられている少
女(イザベル)、片足を失った鉄道公安官、兄を失った花屋の女性・・・、そして、
なによりヒューゴ自身に生きる目的を与えるという奇跡を起こします。

 生まれてきた目的、生きる目的、働く目的、稼ぐ目的・・・。
 目的はあるか、否か。
 あるとしたらどのような目的か。

 深い問いですね。

 経営者やそれに準ずる要職にある方々から、様々な経営活動について、その
目的や意味を問われることがあります。


 正直、「そんなことちょっと真剣に考えれば分かるでしょう」「それを考えるのが、
そしてそれを社内に発信するのが、あなたの仕事でしょう」と言いたい衝動にか
られることが多いのですが、その衝動にグッとブレーキをかけることが大半です
(「真剣に考えれば分かるでしょう」等と申し上げることも少なからずあります)。

 それの目的や意味には、唯一無二の正解はない(ことが多い)。
 それの目的や意味は様々である。
 自身の信念、価値観を信じて、それの目的や意味は、いずれかから選択するし
かない。

 「目的や意味を教えて欲しい。(間違っていないか)確認したい」と問うのは、「目
的や意味に正解がある」と思っていたり、自身の信念や価値観に自信が持ててい
なかったりする状況であるのかもしれません。

 これまでやってきたことを止める。
 やろうと考えていることを止める。
 「止めると、困ったり、落胆したり、文句を言ったりする人(含、自分)や組織はい
らっしゃいますか?ありますか?
 「いる、あるのであれば、”それ”には何がしかの目的や意味があるのではない
でしょうか」
 ※それ=生きる、働く、稼ぐ・・・

 目的や意味を問われた際に、このようなやり取りをすることがあります。

 目的や意味を見出すには想像力や経験、知識が必要な時があります。

 目的や意味を求めて彷徨う人は、想像力を発揮していなかったり、経験や知識
が十分でない可能性があります。
 イザベラが 「私の(生まれてきた)目的は何かしら」とつぶやくのはいたしかた
ありません。彼女は幼く、経験、知識が圧倒的に不足しています。

 目的や意味が見出せないことでモチベーションが高まらない、その結果として十
分な成果物を作りだせないのであれば、(成果物を手にする)目的や意味を見出
す(明らかにする)ことから、いったん距離を置いた方がいいのかもしれません
目的・意味を考えることを止めるのです。

 目的・意味を考えることを止める。
 とはいえ、
「目的は大事」「目的からブレイクダウンする(。そして、具体策を決め
る」「目的・ゴールから逆算する。多くの著名人、大家が語っています

 目的を持って始めるということは、目的地をはっきりさせてから旅立つことである。
目的地を知ることで、現在地もさらによく分かるようになるし、いつも正しい方向に
向かって歩み続けることができるようになる。

 スティーブン・R・コヴィー(著)/ジェームス・J・スキナー(訳)(1996)『7つの習慣』
  pp.127-128

 《三行の経営論》本を読む時は、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれ
とは逆だ。終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。

 ハロルド・S・ジェニーン、A・モスコー(編著)/田中融二(訳)(2004)『プロフェッショ
 ナルマネジャー』pp.34

 新入社員が入社したてに習うものの一つに5W1Hがあります。このうちのWhyは
目的・意味に関する問いです。

 多くの方は、私もその一人なのですが、知らず知らずのうちに、目的を重要に考え
過ぎていたり、目的を過大に評価し過ぎていたりするのかもしれません。

  成果物を手に入れて見出す(分かる)目的・意味も多々あります。

 成果物を手に入れ、当初設定していた目的・意味が、実は適切でなかったことに気
づく
こともあります。

 目的・意味が明らかでないことを、目的・意味に納得できないことを、成果創出のため
のアクションに着手しない、アクションへ心血を注がない”言い訳”にする方もいらしゃい
ます。

 コッターは、企業変革プロセスの初期におけるビジョン(行き先)の発信を、「性急過
ぎる」と懸念しています。

 世界は複雑になり、変動が激しくなっている。小規模な企業や、大企業の小さな部門
が直面する問題ですら、極めて複雑になる。英雄ひとりがすべてを解決できるとは考え
られなくなっている。適切な人材を配置し、困難な仕事に取り組み、協力し合うチーム
必要である。こうしたチームを作ってから(第二段階)、ビジョンの策定に取り組むべきだ
(第三段階)。適切な人材を見いだし、協力して困難な仕事に取り組むようにするには、
危機意識が必要である(第一段階)。

 ジョン・P・コッター、ダン・S・コーエン(著)/高速裕子(訳)(2003)『ジョン・コッターの
 企業変革ノート』pp.50

 行き先にたどり着くための策を検討するよりも先に、まずは行き先にたどり着く目的・
意味について熟考し、明らかにすることは、はしごのかけ違いを防ぐ、組織構成員の
活動のベクトルを合わせる等の点から極めて有用性に富むことは間違いありません。

 しかし、その行き先、その行き先の目的・意味の明確化、納得にこだわることには
注意を払う
必要があるようです。


映画『ヒューゴの不思議な発明』

スタッフ
 監督・製作:マーティン・スコセッシ
 原作「ユゴーの不思議な発明」:ブライアン・セルズニック

キャスト
 ヒューゴ・カブレ:エイサ・バターフィールド
 イザベル:クロエ・グレース・モレッツ
 パパ・ジョルジュ/ジョルジュ・メリエス:ベン・キングズレー
 鉄道公安官:サシャ・バロン・コーエン
 ママ・ジャンヌ:ヘレン・マックロリー
 ヒューゴの父:ジュード・ロウ

コラムB メルマガ発行再開のお知らせ

Vol.28  2012年3月2日(金)
2ヵ月ほどメルマガの発行を止めておりました。
コラム『メルマガはしばらくの間発行を止めます』
http://www.kkkiduki.jp/article/14229882.html

ご購読登録いただいた方々、申し訳ございませんでした。

本日よりメルマガの発行を再開いたします。

メルマガの発行は不定期です。
仕事の繁閑等、いかんともしがたい事情によるものでありますことから、ご了承ください。

よろしくお願いいたします。

コラムB 研修体系の見直し 研修に「錦の御旗」を立てる

Vol.27  2012年2月23日(木)


 「研修体系作ってもらえませんか」

 「研修体系を一緒に見直してもらえないでしょうか」

 そんな相談を受けることがあります。

 

 研修体系とは、ここでは、以下のように定義しておきます。

 『個々別々の研修(Off-JT)同士が、また個々別々の研修(Off-JT)とそれら
研修(Off-
JT)の全体像が、論理的に関係づけられている研修(Off-JT)の
全体像
 『個々別々の研修(Off-JT)を系統的に統一して表している研修(Off-JT)の
全体像』
 ※これらの定義は私の定義です(学術的な定義ではございません)。

 私がよく拝見する研修体系は、
縦軸に、等級、グレード、役職などが並び、
横軸に、コース、職種、部署などが並び、
縦軸と横軸の交差するボックスに
研修名称が記載されているという様式のものです。

 例えば、以下のようなものです。
 ---------------------------------------------
| 等級| コースA | コースB | コースC |   
 ---------------------------------------------    
|  5  | 研修A5 | 研修B5 | 研修C5 |
 ---------------------------------------------
|  4 | 研修A4 | 研修B4 | 研修C4 |
 ---------------------------------------------
|  3 | 研修A3 | 研修B3 | 研修C3 |
 ---------------------------------------------
|  2 | 研修A2 | 研修B2 | 研修C2 |
 ---------------------------------------------
|  1 | 研修A1 | 研修B1 | 研修C1 |
 -------------------------------------------------

 この場合、個々別々の研修同士の関係、また個々別々の研修とそれらの研
修の全体像の関係
に論理性を与えているのは、縦軸(等級)と横軸(コース)で
す。

 このような様式で個々別々の研修を系統的に統一し整理して表すことにより、
どの等級、グ
レード、役職の方々は、どのような研修を受講する必要があるのか
が一目瞭然となります(例
えば、コースAの5等級の方々は、研修A5を受講す
る必要があることがわかります)。

 上記の表では、縦軸と横軸が交差するボックスに研修名称(例:研修A5)を入
れています


 この研修名称よりも先にこの交差するボックスに入れる必要のあるものがあり
ます。

 それは、
期待する人材像
期待する役割
期待する能力(知識、スキル・技能、態度等)
評価項目
等です。

 「期待する人材像」「期待する役割」「期待する能力」「評価項目」等がなかった
り、あまりに不明確であったり
すると、原則として、研修の内容を組み立てること
はでき
ません(当然、研修名称は付けられません)。

 

 「研修体系を作ってもらえませんか」
 「研修体系を一緒に見直してもらえないでしょうか」

 研修体系の作り方にはいろいろあるのでしょうが、上記のような相談を受けた
際の私の打ち手は、大きくは以下の4つに分けられます。


 @ 縦軸−等級、グレード、役職など−、横軸−職種・職群、部署、コースなど−
       を見直す
〜人材のセグメントの見直し〜

 A 「期待する人材像」「期待するスキル・技能」「評価項目」等を見直す

 B 「「期待する人材像」「期待する役割」「期待する能力」「評価項目」」等と研
      修内容
をフィットさせる

 C 個々別々の研修の予算配分を見直す

 上記の@〜Cに関して私(ども)の主たるご支援パターンは以下の通りです。
 @→A→B→C ※@からA、AからB、BからCと順にご支援する。
 @→A→B

 @→A
 A→B→C
 A→B
 B→C
 Bのみ

 私の限られた経験からではありますが、最近は、「B→C」のご支援を依頼さ
れるケースが多いように思
います。「@、Aは現状のままでよい。あるいは、自
分たちで見直す。BおよびCをお願いし
たい」というご依頼です。

 Bは、実は、盲点のように感じています。 

 「「期待する人材像」「期待する役割」「期待する能力」「評価項目」」等と研修内
容はフ
ィットしていて当たり前です。しかし、意外にも、フィットしていない状況が多
々あり
ます。

 
フィットしていることを(強く)実感できていない人材育成担当者の方が思いの
か多いようにも感じます。

 研修には、いえ研修に限らず、あらゆる経営活動には基本的には目的、大義が
必要です。
研修に目的や大義を付与する、研修に「錦の御旗」を立てる上で、B
は極めて重要であると私
は認識しています。

 ご支援を求められるクライアント様には様々な事情があります。

 上記のようないろいろなパターンでクライアント様の研修体系最適化に向けてお
手伝いをさ
せていただく、クライアント様の様々な事情に応えることが人材育成の
仕事では大事だと私は思
っています。

コラムB 学習に関する責任の所在 発達の必須マインド

Vol.26  2012年2月20日(月)

 「この研修は役に立たないですね」
 「研修(の内容)は活かせませんね」

 こんな研修受講者の声を聞くことがあります。

 「このクソ忙しい中、こんなこと(研修)で呼び出すなよ」
 「役に立たない研修に、こんなに金をかける必要があるのか」

 批判が聞こえてくることもあります。

 基本的に忙しく、また豊富な経験や様々な信念、目的を有していることなどか
ら、それなり
の心持ち、環境が整わないと、また相応の教えられ方でないと、
修(学習)に身が入らないビジネ
スマンが多いのは、
当然と言えば当然です。

 成人は、多くの固定した思考の習慣やパターンを有しており、この点ではあま
り開放的では
ない
 マルカム・ノールズ(著)/堀薫夫、三輪建二(監訳)(2002)『成人教育の現代
 的実践−ペタ
ゴジーからアンドラゴジーへ−』鳳書房pp.50

 成人は多くの学習に対して、応用の即時性(immediacy of application)という
枠組みをも
つ傾向にある。彼らは、多くの場合、現在の自分の生活状況におい
て感じているプレッシャー
への対応という形で、学習に参加する。成人にとって
教育とは、自分が現在直面している生活
上の問題に取り組む能力を向上させ
るプロセスなのである。彼らはしたがって、問題解決中心
な(problem-centered)、
あるいは課題達成中心的な(performance-centered)精神の枠組み
をもって
教育活動に参加するといえる。

 マルカム・ノールズ(著)/堀薫夫、三輪建二(監訳)(2002)『成人教育の現代
 的実践−ペタ
ゴジーからアンドラゴジーへ−』鳳書房pp.56

 ビジネスマン(成人)に人材育成サービスを提供するにあたっては、彼らの
持ちや環境に配慮しそれらを
整える、また彼らの経験を活かす方向でカリキュ
ラムを組み立てる教え方に工夫を凝らす

 当然のことです。

 この考えを大前提に、以下、話を進めます。

 繰り返しますが、 ビジネスマン(成人)に人材育成サービスを提供するにあたっ
ては、彼らの
持ちや環境に配慮しそれらを整える、また彼らの経験を活かす
方向でカリキュラムを組み立てる教え方に工夫を凝らす。当然です。

 とはいえ、言うは易し行うは難しです。

 例えば、研修の内容が「実利的であるか否か」「やりたいとことなどと関係して
いるか否か
」「自分の目的に合致しているか否か」。
 判断は、受講者、研修事務局、サービス提供事業者、受講者の上司等の主観
に依ります

 「研修の内容は受講者にとって役に立つ」「研修で学ぶことは受講者の重要な
仕事と関連し
ている」と研修事務局、受講者の上司、サービス提供事業者等が
認識していたとしても、受講
者本人がそのように認識しない限り、この研修は受
講者にとって身の入る「大人の学習」では
なくなるのです。

 「(研修は)自分(受講者)にとって役立つ
 「(研修は)いずれ自分(受講者)がやりたいとことと結びつく

 人材育成(研修)サービスを提供する者は、どこまで受講者を説得したり、理
解を促したり
する必要があるのでしょうか。どの程度まで配慮せねばならないの
でしょうか

 学習に関する責任の所在はどこにあるのでしょうか。
 だれが学習の責任を持つべきなのでしょうか。

 「木下さん、私は受講者に過剰なサービスを提供するつもりはありません。
甘やかすつもりもありません

 「研修が役立つがどうかは受講者の主観次第です」
 「研修が役立つとか役に立たないかは受講者が決める(受講者が責任を負
う)
ことです
」。
 「このような学習に関する覚悟も受講者には必要ではないでしょうか」
 「昨今の受講者の中には甘え過ぎている者もいます」
 「私がやるべきことは、組織が期待する人材の育成に少しでも貢献できるよ
う最善を尽くすことのみです」
 「私の顧客は組織です。」
 「受講者の声・評価はもちろん大切です。しかし、最優先すべきものではあ
りません

 某大手企業の研修担当者(A氏)が、静かに、しかし決意を持ったような眼
差しで、正面から、私に語ったことがあります


 A氏の考えに私は共感する点もあります。

 組織が大きな変革の舵を切りつつある状況下で、他の様々な経営施策の
一環として、他の様々な経営施策と連動する形で展開される人材育成施策
(研修)などは、受講者にかなりのストレスをかけ、また将来を見通した、能
動的な受講者からしか肯定的に評価されないようなことがあります。

 自律したビジネスマン
 こんな言葉が登場し久しく時が流れました。

 以前のコラム「スパルタ的な育て ギリギリの時点で、最小限の・・・」におい
て私は次の
ような考えを述べました。
 http://www.kkkiduki.jp/article/14158195.html

 ●「スパルタ的な育て」の危険さ、難しさを前提としながらも、「育て」において、
  スパル
タ的要素は必要不可欠。
 ●人材育成に責任を負う者は、「ギリギリの時点で」、「最小限の」 支援を与
  えるという
スパルタ的な基本的な姿勢・マインドを決して忘れてはならない。

 @学びが役立つがどうかは、基本的には、自分(受講者)の主観次第で
  ある。

 A学びを役立てるか役立てられないかは、基本的には、自分(受講者)
   が責
任を負う


 B人材育成責任者・担当者にとって受講者の声・評価は大切。しかし、
   最優先すべきものではない(良い意味でのプロダクトアウト志向)。


 このような考えのスタンスで人材育成サービスの内容を検討したり、人材育
成サービスを提供したりする方が、その組織、場の状況によりフィットする人
材育成サービスとなるケースも多々あるように感じます。


 
上記の考え@、Aは、自律したビジネスマンになる上で、自律したビジネス
マンである
ための、発達に関する必須のマインドのよう
に、私には思えます。

 将来の不透明感が増す中、職場には組織間や世代間の価値観・コミュニ
ケーションのギャップ、あつれきがあったり、言うことだけ言って責任をとらない
フリーライダーがいたりなど、理不尽なことも多い。そんないろいろなこと
に文句を言いたい気持ち、分らなくもありません。いえ、もの凄く分かります。 


 「この研修は役に立たないですね」
 「研修(の内容)は活かせませんね」
 これらの発言も、いろいろ言いたい文句の一つなのかもしれません。
 こう発言する気持ち、心情に思いをはせると、発言する方を取り巻く環境へ
の影響について自分の非力さを感じることも多く、申し訳ない気持ちで一杯
にもなることが多々あります。

 しかし、あえて申せば、自律したビジネスマンであるためには、また組織から
将来を嘱望され、またその嘱望に応えるつもりが少しでもある、例えば、次期
経営者候補次期リーダー候補にとっては、能力(知識、スキル・技能、態度)
の発達を維持・加速する上で、上記の考え@、Aを学びに取り組むベースとし
て有していることが極めて重要なことのように私には思えます。

 上記の考え@〜Bに対して「私も同じ考えだ」と表明する人材育成責任者・
担当者、人材育成サービス事業
者には、より大きな「人材育成サービスのクオ
リティに係る責任」が課せられます。

 
上記の考え@〜Bに対する態度は、人材育成サービスのクオリティの提供
に係る覚悟の度合いを測
る目安になるよう
にも思います。

 

 クオリティ
 クオリティの語源の「クオリス」とは物事の本質や性質を意味しています。
クオリティが高いという意味は、その本質や性質が目的に合致していること
を意味しているのです。しかし、私たちはとかく自分勝手に都合よく目的を
決めて、それに合致しているから「良いものだ」と決めつけてしまうことが多
々あります。いわゆるプロダクトアウトといわれるものです。経営品質向上
プログラムでは、目的はすべてお客様の価値ということにおいていますので、
「顧客から見たクオリティ」という言葉を用いているのです。ここで重要なこと
は、目的に合致しているということがクオリティの高さを決定するわけですか
ら、同じ目的をもったお客様をきちんと見極めることが大前提になります。す
べてのお客様にとって合致することや、すべての状況で合致することではあ
りません。
 経営品質協議会(2009)『2009年版 経営品質向上プログラム アセスメントガイド
 ブック』pp.15

 共感 sympathy
 他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く
同じように感じたり理
解したりすること。同感。「―を覚える」「―を呼ぶ」
 [株式会社岩波書店 広辞苑第五版]

 自律
 @自分で自分の行為を規制すること。外部からの制御から脱して、自身
   の立てた規範に従って
行動すること。
 
A〔哲〕(Autonomieドイツ)
  ア)カントの倫理思想において根本をなす観念。すなわち実践理性が理
    性以外の外的権威や自
然的欲望には拘束されず、自ら普遍的道徳法
      を立ててこれに従うこと。

   イ)一般に、何らかの文化領域が他のものの手段でなく、それ自体のうち
      に独立の目的・意義
・価値を持つこと。←→他律。
  [株式会社岩波書店 広辞苑第五版]

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