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Vol.37  2012年12月9日(日)

 「木下さんは話しを矮小化している」
 某社経営会議の席上で、先生(先輩コンサルタント)が、私には一瞥もくれずに、経営トップ、経営幹部を前にして、言葉を発しました。
 頭から湯気が立ち上っているようです。
 私が経営コンサルタントとして駆け出したばかりの頃(2001年頃)のことです。
 「何について議論していたのか」「私が何を矮小化したのか」。
 思い出せません。
 気が動転していたのでしょう、
 自宅に帰り、矮小について調べました。

 矮小
 ①たけが低く小さいこと。「―な体」
 ②いかにも規模の小さいさま。「問題を―にとらえる」「―化した見方」
 [株式会社岩波書店 広辞苑第五版]


 「拘泥するな」「ちまちまやるな」「大きく捉えよ」「本質を見失うな」「目的をチャンクアップせよ」「枠を外せ」「ごま
かすな」「お茶を濁すな」・・・。

 当時、先生のおかげで、上記のことをあらためて学習(再認識)させてもらいました。
 それ以来、私は常に矮小を意識するようになりました。
 「この話し(問題)はもっと大きな観点から議論すべきではないか?」
 「この話し(問題)はこんな大きな話し(問題)ではない−とるに足らない話(問題)だ−・・・」
 ・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・

 

 つい先日、先生から手紙を頂戴しました。 「引退いたしき旨申し入れました(経営コンサルタントの第一線を退かれる)」とのこと。
 今の私に関して申しますと、10年前と比較し、「意図して矮小化する(そうしないと心がやりきれなくなる)」ことが増えました。 
 近々、先生に相談させていただこうかと思っていました。
  「木下さんに教えることはありませんよ」
 先生の手紙は私に優しく語りかけているように思えます。

 10年前の、頭から湯気を立ち上らせている先生の形相を思い出すに、先生が第一線を退かれるのは、もしかすると、「”矮小化(するご自分)を先生は許せないから”ではないか?」。
 そんなことを思ったりもします。

 先生からは本当に沢山のことを教えていただきました。
 言葉では言い尽くせません。
 僭越ながら、先生は「余人をもって代えがたい人」でありました。
 謹んで御礼申し上げます。

 

 

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