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Vol.32  2012年4月30日(月)
 
「この先どうなるか分から者に娘をやるわけにはいかない」。13年前、妻の実家で、お父さん(妻の実父)から言われました。当時私は、勤めていたコカ・コーラウェストジャパン(※)を数カ月後に退職することを、また退職後は、生産性本部が開催している経営コンサルタント養成講座(※)を受講することを決めていました。
 
※コカ・コーラウェストジャパン
   http://www.ccwest.co.jp/
 ※経営コンサルタント養成講座

   http://consul.jpc-net.jp/mc/kouza/index.html
 経営コンサルタント養成講座を受講した後、つまり一年後に
何をするか?何ができるか?何をしたいのか?何をやるべきか?はたして稼げるのか(妻子に不自由なく生活してもらえるか)?
 今思い起こせば冷や汗ものなのですが、当時は、さしたる根拠も、確信もないにもかかわらず「どうにかなる!」
楽観していたように思います。


 
「この先どうなるか分から者に娘をやるわけにはいかない」。
 お父さんの言い分はもっともです。
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 ずっと黙っていたお母さん(妻の実母)が、口を開きました。
 「お父さん、(耕二さんの人生は)楽しそうじゃないの」
 「お父さん、お父さんの人生、楽しかった?お父さんと(私と)の人生は楽しかった?」
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 「苦労ばっかりだった・・・」
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 「楽しくなかった・・・」
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 「(耕二さんと妻の人生は)楽しそうじゃない!」
 
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お父さんの(そして私の)思考はストップし、発する言葉を見つけることができません。
 お父さんは(私も)、理性的です。
 お母さんは、直感的です。

 「直感」と「理性」の二つのツール(シーナ・アイエンガー)。
 子供(私の妻)の結婚について、お父さんとお母さんの二人は、お父さんは「理性」というツールを、お母さんは
直感」というツールを、二人で異なるツールをバランスよく活かして、意思決定していただきました。


 
この10年、私は「理性」で考え抜き最後は「直感」で、あるいは「直感」を起点に「理性」で徹底に検証して結局最後は「直感」で重大事について決めてきました。お母さんから直感の凄さと理性の限界を突き付けられたこの時
の経験に私はもしかするととてつもなく大きな影響を受けているのかもしれません。


 お母さんのおかげで、私は妻と一緒になることをお父さんから許されました。
 お母さんには一生頭が上がりません。

 時々、あの時の情景を思い起こし、お父さんには申し訳なく思います。

 5日前、お父さんは他界しました。
病に伏しているお母さんを病院へ見舞いに行く途中の交通事故でした。
 妻はお父さんの遺品を整理しながらお父さんのズボンのすそがテープで留めてある状態を見て涙していました。 

 合掌

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