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Vol.27  2012年2月23日(木)


 「研修体系作ってもらえませんか」
 「研修体系を一緒に見直してもらえないでしょうか」

 そんな相談を受けることがあります。

 

 研修体系とは、ここでは、以下のように定義しておきます。

 『個々別々の研修(Off-JT)同士が、また個々別々の研修(Off-JT)とそれら
研修(Off-
JT)の全体像が、論理的に関係づけられている研修(Off-JT)の
全体像

 『個々別々の研修(Off-JT)を系統的に統一して表している研修(Off-JT)の
全体像』

 ※これらの定義は私の定義です(学術的な定義ではございません)。

 私がよく拝見する研修体系は、
縦軸に、等級、グレード、役職などが並び、
横軸に、コース、職種、部署などが並び、
縦軸と横軸の交差するボックスに
研修名称が記載されているという様式のものです。

 例えば、以下のようなものです。
 ---------------------------------------------------------
| 等級| コースA | コースB | コースC |   
 ---------------------------------------------
------------   

|  5  | 研修A5 | 研修B5 | 研修C5 |
 ---------------------------------------------
------------
|  4 | 研修A4 | 研修B4 | 研修C4 |
 ---------------------------------------------
------------
|  3 | 研修A3 | 研修B3 | 研修C3 |
 ---------------------------------------------
------------
|  2 | 研修A2 | 研修B2 | 研修C2 |
 ---------------------------------------------
------------
|  1 | 研修A1 | 研修B1 | 研修C1 |
 ---------------------------------------------------------

 この場合、個々別々の研修同士の関係、また個々別々の研修とそれらの研修の全体像の関係に論理性を与えているのは、縦軸(等級)と横軸(コース)です。

 このような様式で個々別々の研修を系統的に統一し整理して表すことにより、
どの等級、グ
レード、役職の方々は、どのような研修を受講する必要があるのかが一目瞭然となります(例えば、コースAの5等級の方々は、研修A5を受講する必要があることがわかります)。

 上記の表では、縦軸と横軸が交差するボックスに研修名称(例:研修A5)を入れています

 この研修名称よりも先にこの交差するボックスに入れる必要のあるものがあります。

 それは、
期待する人材像
期待する役割
期待する能力(知識、スキル・技能、態度等)
評価項目
等です。

「期待する人材像」「期待する役割」「期待する能力」「評価項目」等がなかった
り、あまりに不明確であったり
すると、原則として、研修の内容を組み立てること
はでき
ません(当然、研修名称は付けられません)。

「研修体系を作ってもらえませんか」 
「研修体系を一緒に見直してもらえないでしょうか」

 研修体系の作り方にはいろいろあるのでしょうが、上記のような相談を受けた
際の私の打ち手は、大きくは以下の4つに分けられます。


 ① 縦軸−等級、グレード、役職など−、横軸−職種・職群、部署、コースなど−
       を見直す
〜人材のセグメントの見直し〜

 ② 「期待する人材像」「期待するスキル・技能」「評価項目」等を見直す

 ③ 「「期待する人材像」「期待する役割」「期待する能力」「評価項目」」等と研
      修内容
をフィットさせる

 ④ 個々別々の研修の予算配分を見直す

 上記の①〜④に関して私(ども)の主たるご支援パターンは以下の通りです。
 ①→②→③→④ ※①から②、②から③、③から④と順にご支援する。 ①→②→③
 ①→②
 ②→③→④
 ②→③ ③→④
 ③のみ

 私の限られた経験からではありますが、最近は、「③→④」のご支援を依頼さ
れるケースが多いように思
います。「①、②は現状のままでよい。あるいは、自
分たちで見直す。③および④をお願いし
たい」というご依頼です。

 ③は、実は、盲点のように感じています。 

 「「期待する人材像」「期待する役割」「期待する能力」「評価項目」」等と研修内
容はフ
ィットしていて当たり前です。しかし、意外にも、フィットしていない状況が多々あります。

 
フィットしていることを(強く)実感できていない人材育成担当者の方が思いのほか多いようにも感じます。

 研修には、いえ研修に限らず、あらゆる経営活動には基本的には目的、大義が
必要です。
研修に目的や大義を付与する、研修に「錦の御旗」を立てる上で、③
は極めて重要であると私
は認識しています。

 ご支援を求められるクライアント様には様々な事情があります。

 上記のようないろいろなパターンでクライアント様の研修体系最適化に向けてお
手伝いをさ
せていただく、クライアント様の様々な事情に応えることが人材育成の
仕事では大事だと私は思
っています。

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